107回看護師国家試験 午後問題106~120
次の文を読み午後問題106~108の問いに答えよ。
Aさん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。
午後問題106 このときにAさんから収集する情報として優先度が高いのはどれか。
1.排尿回数
2.咳嗽の有無
3.鎮咳薬の使用状況
4.生活上のストレス要因
午後問題107 Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。
Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。
1.服薬心理教育を実施する。
2.ハローワークを紹介する。
3.生活技能訓練〈SST〉を勧める。
4.薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する。
午後問題108 さらに2週が経過し、Aさんは鎮咳薬の服用をやめる意思を強く固め、今後の依存症の治療について真剣に考えるようになった。Aさんの父親はAさんが幼少期のころ死亡しており、Aさんは母親と2人で暮らしていた。母親は週2回面接に来て、Aさんに対して小さな子どもに接するように世話をしていた。担当看護師が母親と今後のことについて話すと、母親は「私が何とかします。私しかこの子の力になってあげられないのです。本当はもっとAにしっかりして欲しい。でも、そう言うとAは怒ってしまいます」と話した。
担当看護師の母親への声かけで適切なのはどれか。
1.「親戚で頼りになる方はいませんか」
2.「なるべく怒らせないようにすることが大切です」
3.「お母さんは今までどおりの関わりで良いですよ」
4.「Aさんが自分で自分のことをできるようにサポートしていきましょう」
次の文を読み午後問題109~111の問いに答えよ。
Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。
午後問題109 入院後、Aさんは主治医と話し合い、1日の手洗いの回数を決めたが、毎日その回数を超えて手洗いを続けている。看護師が確認するといつも洗面所にいる。
Aさんが決めた回数を超えて洗面所で手洗いを続けているときに、看護師がとる対応で適切なのはどれか。
1.手洗いを続けてしまうことについてAさんと一緒に話し合う。
2.病棟は清潔であることをAさんに説明する。
3.主治医にAさんの隔離について相談する。
4.Aさんと決めた手洗いの回数を増やす。
午後問題110 Aさんは、食事の時間以外は他の患者との接触は避け、病室で1人で過ごしている。両親は共働きで、毎日面会に来ることはできない。Aさんは自宅に面会の催促の電話をかけては母親と口論している。Aさんとの関わりに心身ともに疲れ果てた母親が、看護師に相談してきた。
母親への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.父親と交代で毎日面会に来るよう勧める。
2.Aさんからの自宅への連絡を制限することを約束する。
3.Aさんの代わりに看護師がAさんの苦悩を母親に伝える。
4.Aさんと母親との話し合いに看護師が同席することを提案する。
午後問題111 入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療について話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。
このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか。
1.催眠療法
2.作業療法
3.認知行動療法
4.就労移行支援
次の文を読み午後問題112~114の問いに答えよ。
Aさん(76歳、女性。)夫(74歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン病〉と診断された。現在、Hoehn‐Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ〈L—dopa〉を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。
午後問題112 外来看護師が日誌に記録する内容をAさんに指導することになった。
日誌に記録する内容で最も重要なのはどれか。
1.食事の量
2.便の性状
3.振戦の有無
4.排尿の回数
午後問題113 Aさんと夫は、2週後に日誌を持って受診した。レボドパ〈L—dopa〉の処方が1日4回に増量されることになり、病状管理と療養指導のためAさんは週1回の訪問看護を利用することになった。薬剤が増量されてから1週が経過し、足がすくむことが少なくなった。Aさんから「足がすくむようになってから浴槽に入るのをやめていたけれど、入浴しても大丈夫でしょうか」と訪問看護師に相談があった。
Aさんに指導する内容で最も適切なのはどれか。
1.「レボドパが効いている時間に入浴しましょう」
2.「通所介護の入浴を利用しましょう」
3.「訪問入浴介護を利用しましょう」
4.「シャワー浴にしましょう」
午後問題114 Aさんは「病気になる前は夫と近くの公園を毎日散歩していたけれど、最近は通院以外に外出をしていません。以前のように、夫と近くの公園を散歩したいな」と訪問看護師に話した。
Aさんへの提案で最も適切なのはどれか。
1.歩行器の利用
2.電動車椅子の利用
3.住宅内の段差の改修
4.自宅でのリハビリテーションの実施
次の文を読み午後問題115~117の問いに答えよ。
Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60㎏。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
午後問題115 妻から聴取したAさんに関する以下の情報のうち、治療方針を決定するために最も重要な情報はどれか。
1.5年前から禁煙している。
2.最近、眠りが浅いと言っていた。
3.今朝5時にトイレから戻って来た。
4.健康診査を2年間受診していなかった。
午後問題116 Aさんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ〈t-PA〉による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-3と改善がみられた。多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、Aさんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。
Aさんに行う経管栄誉法について適切なのはどれか。
1.白湯から開始する。
2.開始前に胃残差を確認する。
3.経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する。
4.1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcalとする。
午後問題117 入院3日の20時、Aさんは覚醒し、点滴を触ったり、経鼻胃管を抜こうとしたりしており、落ち着かない様子である。
担当看護師が最初に行う対応で適切なのはどれか。
1.身体拘束を行う。
2.早めに消灯をする。
3.バイタルサインを測定する。
4.向精神薬の使用を検討する。
次の文を読み午後問題118、119の問いに答えよ。
Aさん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男のB君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mlであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。
午後問題118 Aさんは翌日の2時に尿意があり、自然排尿があった。8時に「昨晩は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍68/分、血圧125/70mmHgであった。
このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
1.授乳を促す。
2.入浴を勧める。
3.骨盤底筋体操を指導する。
4.鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える。
午後問題119 産褥5日。Aさんの退院のため、夫とB君が迎えに来た。AさんはB君の自宅での様子を夫から聞いた。B君は「ご飯を食べさせてほしい」と訴えたり、「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしていたという。そのことを知ったAさんはB君を抱きしめ、B君の話をゆっくり聞いていた。Aさんは退院後のB君への対応について心配になり、看護師に相談した。
Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。
1.「B君に好きな物を食べさせましょう」
2.「B君の世話は夫にしてもらいましょう」
3.「B君と一緒に赤ちゃんの世話をしましょう」
4.「B君に兄としてしっかりするように話しましょう」
次の文を読み午後問題120の問いに答えよ。
Aさん(82歳、男性)。長男夫婦との3人暮らし。4年前に認知症と診断された。Barthel〈バーセル〉インデックスは100点、Mini Mental State Examination〈MMSE〉は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下腿の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎と診断されて入院した。入院翌日、右下腿の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症の行動・心理症状〈BPSD〉を最小限にするための看護を計画することとした。
午後問題120 担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。
1.右下腿を足浴する。
2.右下腿を挙上する。
3.温泉旅行の話をする。
4.Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。