109回看護師国家試験 午後問題91~105
次の文を読み午後問題91~93の問いに答えよ。
Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月で5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍の疑いで大学病院に紹介された。
嗜好品:飲酒はビール700mⅬ/日を週5日
趣 味:ジョギングとヨガ
午後問題91 Aさんの甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査はどれか。
1.血中サイログロブリン値検査
2.頸部エックス線撮影
3.穿刺吸引細胞診
4.頸部CT
午後問題92 検査の結果、Aさんは甲状腺乳頭癌であり、甲状腺全摘出術を受けることになった。Aさんは、手術前オリエンテーションの際「手術後にどんな症状が起こりやすいのか教えてください」と話した。
この時のAさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
1.「手がつる感じがあります」
2.「目が閉じにくくなります」
3.「声が出なくなります」
4.「唾液が多くなります」
午後問題93 Aさんは、手術後に甲状腺ホルモン製剤、カルシウム製剤、ビタミンD製剤の内服が開始され、手術後1週で退院することになった。Aさんは「退院後の生活で気を付けることを教えてください。私は35歳ですし、夫と年が離れているため、できるだけ早く子どもが欲しいと思っています」と話している。
看護師が行うAさんへの1か月後の受診までの生活指導で適切なのはどれか。
1.「運動は控えましょう」
2.「1年間は妊娠を控えましょう」
3.「海藻類の摂取に制限はありません」
4.「飲酒量は入院前と同じでよいです」
次の文を読み午後問題94~96の問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、会社員)は、夕食の1時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。
身体所見:身長155㎝、体重82kg。体温38.2℃、呼吸数16/分、脈拍110/分、血圧126/70 mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。
検査所見:白血球14,960 /μL、Hb12.8 g/dL。総ビリルビン8.7 mg/dL、直接ビリルビン7.2 mg/dL、アミラーゼ121 IU/Ⅼ、リパーゼ45 IU/Ⅼ、尿素窒素18.9 mg/dL、血清クレアチニン0.98 mg/dL。CRP9.2 mg/dL。
腹部超音波検査所見:胆嚢壁の肥厚、胆嚢の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。
午後問題94 Aさんの病態で正しいのはどれか。
1.急性胃炎
2.急性腎不全
3.閉塞性黄疸
4.溶血性貧血
午後問題95 Aさんは、緊急で内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉を受ける方針となった。
検査前に看護師が行う説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.「のどに麻酔をします」
2.「磁力を使った検査です」
3.「造影剤を静脈から投与します」
4.「検査は仰向けで行います」
5.「検査後の合併症に膵炎があります」
午後問題96 Aさんには、緊急内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉に続いて内視鏡的経鼻胆管ドレナージ〈ENBD〉が留置された。入院時に採取した血液培養から大腸菌〈E.coli〉が検出されたが、抗菌薬治療とENBDにより解熱している。
入院後2日、Aさんは右季肋部の違和感を訴えた。バイタルサインは正常である。
この時の看護師の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ドレナージチューブをクランプする。
2.ドレナージチューブから空気を注入する。
3.ドレナージチューブの固定位置を確認する。
4.ドレナージチューブからの排液量を確認する。
5.ドレナージチューブをアルコール綿で消毒する。
次の文を読み午後問題97~99の問いに答えよ。
Aさん(72歳、男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。
既往歴:1年前に前立腺癌のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。
身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。
生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉26点、Barthel〈バーセル〉インデックス65点。
午後問題97 Aさんは排尿コントロールについて「脳梗塞になってから、尿意を感じるとがまんができずに大量の尿が漏れてしまう。1日に何回も漏らす」と看護師に話した。
Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
1.過活動膀胱
2.腹圧性尿失禁
3.溢流性尿失禁
4.腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症
午後問題98 入所後2日、Aさんは箸を使って食事をするが、いつも左側に置かれた食器には食べ残しがあった。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
1.スプーンの使用を勧める。
2.反復唾液嚥下テストを行う。
3.食事の途中で食器の配置を変える。
4.食器の下に滑り止めマットを敷く。
午後問題99 入所後3日、Aさんは入浴した。Aさんは自分で脱衣し、体を洗えたが、洗い残した部分を看護師が介助した。入浴後に看護師がAさんに服を手渡すと、Aさんは戸惑った表情で服を丸めたり広げたりしている。
Aさんへの更衣援助で最も適切なのはどれか。
1.着替え始めるまで待つ。
2.伸縮性のある素材の服を渡す。
3.服を着やすい向きに持たせる。
4.ボタンをマジックテープに変えた服を渡す。
次の文を読み午後問題100~102の問いに答えよ。
Aちゃん(5歳、男児)は、2日前に39℃に発熱して両側の耳下腺部の痛みを訴えた。昨日から同部位の腫脹がみられ、頭痛を訴えている。夜間に嘔吐が4回あり、発熱と頭痛が持続したため、本日父親に連れられて来院し、髄膜炎の疑いで個室に入院した。通っている幼稚園には、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)罹患児が数名いる。
既往歴:特記すべきことはない。
予防接種歴:年齢相応の定期接種はすべて済んでいる。おたふくかぜワクチンは未接種である。
家族歴:両親は流行性耳下腺炎罹患の既往がある。妹のBちゃん(3歳)は、年齢相応の定期予防接種は済んでいるが、おたふくかぜワクチンは未接種である。また、流行性耳下腺炎罹患の既往はない。
身体所見:体温39.2℃、項部硬直あり。両側耳下腺部の腫脹と圧痛あり。胸部聴診で異常なし。腹部は平坦で軟、圧痛なし。Kernig〈ケルニッヒ〉徴候あり。
検査所見:白血球8,760/μL。血清アミラーゼ834U/L(基準値44~132)、CRP0.1 mg/dL。
午後問題100 Aちゃんに腰椎穿刺を行うことになった。看護師が検査の準備を始めると、Aちゃんは「何をするの?」と不安そうな表情をして尋ねてきた。
看護師の適切な返答はどれか。
1.「泣いちゃだめだよ」
2.「気にしないでいいよ」
3.「痛いことはしないよ」
4.「背中にお注射するよ」
午後問題101 検査の結果、Aちゃんはムンプス髄膜炎と診断された。父親から看護師に「先ほど主治医の先生から、面会やAの入院中の生活に制限があると聞きました。詳しく教えてください」と質問があった。
看護師の説明で適切なのはどれか。
1.「親の面会は可能です」
2.「Bちゃんの面会は可能です」
3.「Aちゃんはプレイルームで遊べます」
4.「Aちゃんは病室内でガウンを着てもらいます」
午後問題102 Aちゃんは入院の翌日も発熱が続いたが、頭痛は軽減し嘔気は消失したため経口摂取を開始した。入院3日、体温は微熱となり食欲が回復したことから、翌日の退院が決定した。耳下腺は縮小しつつあるが圧痛がある。父親から看護師へ「退院後、何か注意することはありますか」と質問があった。
父親への看護師の回答で適切なのはどれか。
1.「Aちゃんの精巣の腫れに注意してください」
2.「Aちゃんは退院後1週間は登園できません」
3.「Aちゃんの耳の聴こえ方に注意してください」
4.「AちゃんからBちゃんへの感染予防には明日までのワクチン接種が効果的です」
次の文を読み午後問題103~105の問いに答えよ。
Aちゃん(7歳、女児、小学1年生)は、3歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の4月から7月までの間に、急性扁桃炎を3回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。
午後問題103 定期外来の受診時に、手術が決まったことが医師からAちゃんに伝えられた。Aちゃんは「なんで手術をするの」と涙ぐんでいる。
扁桃腺摘出術を受けるAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
1.「寝ているときに息を止めてしまうことがあるからだよ」
2.「のどにいる悪い虫をとるためだよ」
3.「のどにお熱があるからだよ」
4.「いびきが大きいからだよ」
午後問題104 手術後1日。Aちゃんはベッド上で、静かにぬり絵をして遊んでいたが、昼食時には黙って涙ぐみ、食事や水分も摂ろうとしない。付き添っている母親は「痛くて食べられないようです」と看護師に言った。Aちゃんのバイタルサインは、体温37.6℃、血圧100/60mmHg。
看護師がAちゃんの痛みを把握するために最も適切な方法はどれか。
1.Aちゃんの表情を観察する。
2.母親にAちゃんの痛みの様子を聞く。
3.Aちゃんに痛みの程度を話してもらう。
4.Aちゃんに痛みスケールを使って示してもらう。
午後問題105 手術後1日。
看護師が行うAちゃんの術後出血の観察方法で適切なのはどれか。
1.口を開けて手術創を観察する。
2.唾液の色を観察する。
3.便の色を観察する。
4.脈拍数を測定する。