109回看護師国家試験 午後問題106~120
次の文を読み午後問題106~108の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩3時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍72/分、血圧118/70mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。
午後問題106 この時のAさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
1.子宮収縮は良好である。
2.縫合部に感染徴候がみられる。
3.分娩の受け止めに問題がある。
4.産褥日数に比べて進行性変化が遅い。
午後問題107 産褥2日。Aさんから会陰縫合部の疼痛の増強はないが、離開の不安から排便ができないと訴えがあった。看護師は縫合部の異常がないことを確認した。Aさんは妊娠中の便秘はなかった。
看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
1.産褥体操をAさんに勧める。
2.水分を多く摂るようAさんに勧める。
3.医師に緩下薬の処方について相談する。
4.縫合部の離開の心配はないことをAさんに説明する。
午後問題108 産褥4日。母子ともに出産後の経過は順調である。看護師が、Aさんへ退院に向けて育児に関する話をしていたところ「赤ちゃんの顔や胸が赤くなっているのが気になっています」と相談してきた。看護師が新生児の皮膚を観察したところ、児の顔面と胸部に中毒性紅斑が数個散在していた。
この時のAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1.紅斑を乾燥させるよう説明する。
2.紅斑をガーゼでよく洗うよう説明する。
3.自然に消失するため心配はないと説明する。
4.抗菌薬の軟膏の処方について医師に相談すると伝える。
次の文を読み午後問題109~111の問いに答えよ。
Aさん(22歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意されたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。
午後問題109 入院当日、Aさんに対する看護師の関わりで適切なのはどれか。
1.短期間の入院となることを伝える。
2.母親と関係修復をするように促す。
3.リストカットをしないように説得する。
4.Aさんの心身を心配していることを伝える。
午後問題110 入院翌日、母親が面会に来たが、Aさんに要求されるままお菓子を大量に持参した。Aさんは、面会室でお菓子をすべて食べた直後に、トイレにこもり、嘔吐していたところを看護師が発見した。Aさんは泣きながら「食べると止まらなくなる。太りたくない」と訴えた。主治医は、Aさんが右第2指を使って嘔吐していた痕跡を認めたこと、Aさんが「中学の時から過食と嘔吐を繰り返していた」と話したことから、神経性過食症と診断した。
入院時の身体所見:身長155㎝、体重48kg。
入院時の検査所見:赤血球400万/μL、Hb12.5g/dL、白血球6,300/μL。Na135mEq/L、K2.7mEq/L、CI98mEq/L、AST30U/Ⅼ、ALT35U/Ⅼ、γ-GTP32U/Ⅼ。
Aさんの状態をアセスメントするために優先度が高い検査はどれか。
1.心電図
2.頭部CT
3.腹部超音波
4.上部消化管内視鏡
午後問題111 入院後3週、Aさんの精神状態は落ち着き、職場に早く戻りたいと意欲があったため、退院に向けての準備をすることになった。自傷行為は、入院前の1回のみだった。Aさんは「また過食をしないか心配だ」と看護師に訴えた。そのため主治医はAさんと話し合い認知行動療法が開始となった。
Aさんの退院に向けて、医師、看護師のチームと連携するメンバーで最も適切なのはどれか。
1.栄養士
2.薬剤師
3.臨床心理士
4.ゲートキーパー
5.精神保健福祉相談員
次の文を読み午後問題112~114の問いに答えよ。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。半年前からAさんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。ある夜、Aさんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、Aさんはアルコール依存症と診断された。
午後問題112 入院後3日までにAさんに出現する可能性が高い症状はどれか。2つ選べ。
1.観念奔逸
2.緘 黙
3.強迫症状
4.幻 覚
5.振 戦
午後問題113 入院後3日。面会に来た妻は、飲酒によって多くのトラブルを抱えているAさんへの対応に困っており、Aさんの飲酒行動に対する関わり方について、今後どのようにすればよいか看護師に相談した。
Aさんの妻に対する助言で適切なのはどれか。
1.「飲酒による仕事上の失敗についてAさんと議論しましょう」
2.「飲酒したいというAさんの気持ちは聞かないようにしましょう」
3.「Aさんが飲酒したことがわかっても注意はしないようにしましょう」
4.「Aさんの飲酒によるトラブルを代わりに解決しないようにしましょう」
午後問題114 入院中にAさんは、退院後に再び飲酒してしまうのではないかという不安を看護師に訴えてきた。
Aさんの断酒を支援するための看護師の提案で適切なのはどれか。
1.共同生活援助〈グループホーム〉への入居
2.セルフヘルプグループへの参加
3.行動援護の利用
4.生活訓練の利用
次の文を読み午後問題115~117の問いに答えよ。
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。
午後問題115 外来受診時にAさんの妻から外来看護師に「2人で協力してインスリン注射することには慣れてきました。たまには夜に夫とゆっくり和食を食べに行きたいのですが、外出時の注射で気を付けることを教えてほしい」と相談があった。
Aさんと妻への外来看護師の指導内容で適切なのはどれか。
1.「お店に着いたらすぐに注射を打ちましょう」
2.「インスリンを常温で持ち運ぶことはできません」
3.「注射ができる場所をお店の人に確認しましょう」
4.「普段よりもインスリン量を増やす必要があります」
午後問題116 インスリン治療開始後3年、Aさんは妻の付き添いで散歩を取り入れ運動療法にも取り組んでいたが、靴ずれが悪化し右第5趾に潰瘍ができた。そこで要介護1の認定を受けて訪問看護が週2回導入され、フットケアの指導が行われることになった。
訪問看護師が行う妻への指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.絆創膏は足趾全体を覆うように貼る。
2.浸出液の臭いの変化に注意する。
3.泡立てた石けんで足を洗う。
4.足浴には42℃の湯を使う。
5.大きいサイズの靴を履く。
午後問題117 訪問看護が導入されて2か月、Aさんの妻が健康診査後の精査目的で数日間入院することになった。Aさんは妻の入院中もできる限り自宅で過ごしたいと考えている。妻の入院中の対応について、サービス担当者会議が開かれた。
この時に訪問看護師が行うAさんへの提案で優先度が高いのはどれか。
1.通所介護を利用する。
2.訪問介護を利用する。
3.配食サービスを利用する。
4.訪問看護の回数を増やす。
次の文を読み午後問題118~120の問いに答えよ。
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。
午後問題118 外来の看護師の対応で優先するのはどれか。
1.外国語が話せる医師を呼びに行く。
2.付き添ってきた友人に通訳を依頼する。
3.Aさんに外来の処置室で横になってもらう。
4.Aさんの母国語で書かれた問診票を取りに行く。
午後問題119 Aさんは、急性骨髄性白血病と診断され、血液内科病棟の2人部屋に緊急入院になった。病棟看護師が入院オリエンテーションをするため病室を訪れたところ、同室の患者から「Aさんの香水の香りが強いので、つらい」と訴えがあり、看護師もその香りが気になった。
看護師の対応で適切なのはどれか。
1.同室の患者に別室への移動を勧める。
2.Aさんに香水を洗い流すよう説明する。
3.Aさんに香水の使用には医師の許可が必要だと説明する。
4.Aさんに香りが本人および同室の患者の治療に及ぼす影響を説明する。
午後問題120 Aさんが入院したという知らせを受けて、Aさんの家族が来日し、病棟に見舞いに来た。Aさんの家族は、Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。
看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.Aさんと家族が納得できる解決策を話し合う。
2.希望通りAさんの病室に泊まることを許可する。
3.日本では家族の泊まり込みはできないと説明する。
4.近隣のホテルに泊まって、日中のみ通うよう勧める。