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98回看護師国家試験 午前問題91~105

次の文を読み、午前問題91~93の問いに答えよ。
 
 76歳の女性。夜間勤務をしている51歳の長男と2人暮らし。認知症で、妄想と尿・便失禁とがみられる。長男から「トイレまで間に合わなくて便で部屋を汚して困る。お風呂も嫌がって入らない」と主治医に相談があった。主治医が要介護認定の申請を勧め、要介護1と認定された。週1回の訪問看護が開始された。
 
 
午前問題91 訪問すると、部屋には尿臭がし、廊下の壁には排泄物がところどころ付着していた。女性は歩行が可能で丁寧に挨拶をしたが、その後看護師に食べ物を持っていないかと聞いてきた。長男は「便で家の中を汚すので、あまり食べさせていない。ここ数か月入浴もしていない」と言う。
 この段階で疑われるのはどれか。
1.身体的虐待
2.心理的虐待
3.経済的虐待
4.介護の放棄
 
 
午前問題92 2回目に訪問すると、部屋の中から女性の「痛い。ごめんなさい」という泣き声が聞こえた。女性の顔面を見ると腫れていた。長男は「思わずたたいてしまった」と言う。
 長男への最初の対応で適切なのはどれか。
1.「病気だから我慢しましょう」
2.「何があったのか話してくれますか」
3.「たたくのは虐待で犯罪になりますよ」
4.「二度とたたかないと約束してください」 
 
 
午前問題93 しばらく安定した生活をしていたが、認知症状が悪化し日中徘徊するため、その見守りと付き添いで長男は休息をとることができなくなった。
 この状況で優先して活用するのはどれか。
1.通所介護
2.歩行器の貸与
3.配食サービス
4.訪問リハビリテーション
 

 

 
次の文を読み、午前問題94~96の問いに答えよ。
 
7歳の男児。筋ジストロフィー。誤嚥性肺炎のため入院した。両親との3人家族。車椅子介助で特別支援学校(養護学校)に通学している。父親は早朝から深夜まで仕事のため不在が多い。介護はほぼ母親が担っている。母親は軽度の高血圧症である。
 
 
午前問題94 肺炎は改善し、退院後の経鼻経管栄養法によって栄養補給を行うこととなった。退院後の病状変化時の対応について母親から不安の訴えがあったため、訪問看護ステーションからの訪問看護が開始されることとなった。
 経鼻経管栄養法の合併症予防のため、観察する項目で優先度が低いのはどれか。
1.発熱の有無
2.食欲の有無
3.肺音の異常の有無
4.経鼻チューブの固定状況
5.チューブ挿入部の皮膚の状態
 
 
午前問題95 在宅での経鼻経管栄養法の家族への指導で適切なのはどれか。
1.栄養剤は50℃前後に温めて注入する。
2.介護者の時間がないときは注入速度を速める。
3.日中に発汗が多い場合は夜間に水分注入する。
4.注入を始める時刻は男児・家族の生活パターンに合わせる。
 
 
午前問題96 退院後3か月が経ち、母親の付き添いで再び通学が可能となった。しかし、毎日介護と家事とを行っている母親に疲労がみられるようになった。訪問看護師が訪問すると「今朝自分の血圧を測ったら160/100mmHgだったが、大丈夫だろうか」と母親から相談があった。
 受診を勧めた上で次に行う対応で適切なのはどれか。
1.直ちに男児の入院を手配する。
2.ホームヘルプサービスの利用を勧める。
3.母親に厳密な塩分制限を含む食事指導を行う。
4.特別支援学校(養護学校)をしばらく休ませるよう勧める。
 

 

 
次の文を読み、午前問題97~99の問いに答えよ。
 
 23歳の男性。突然の胸痛と呼吸困難のため受診し、自然気胸と診断された。1週間安静にして様子をみていたが改善しないため入院した。胸腔ドレーンが挿入され、水封式装置につないでドレナージが開始された。
 
 
午前問題97 胸腔ドレナージ施行中の看護で適切なのはどれか。
1.水封室の連続的気泡を観察する。
2.吸引圧調節ボトル内の水は無菌的に取り扱う。
3.排液ボトルは1日3回交換する。
4.移動時は排液ボトルを挿入部よりも高く保つ。
 
 
午前問題98 患者は「しばらく風呂に入っていないので気持ちが悪い」と言った。
 対応で最も適切なのはどれか。
1.全身清拭
2.下半身はシャワー浴で上半身は清拭
3.全身シャワー浴
4.入 浴
 
 
午前問題99 退院後、自然気胸の再発を繰り返したため、胸腔鏡下で手術を行うこととなった。
 手術前の説明で適切なのはどれか。
1.「手術による創は小さくてすみます」
2.「今回は胸腔ドレーンは入れません」
3.「翌朝までは人工呼吸器を装着して管理します」
4.「手術後も再発する可能性が高いので注意が必要です」
 

 

 
次の文を読み、午前問題100~102の問いに答えよ。
 
 34歳の男性。独身。身長178cm、体重70kg。仕事で疲労が重なり、性器ヘルペスが発症したため受診し、本人の希望でHIV検査を行った結果、HIV抗体陽性であり、1週間後にHIV血漿ウイルス量等の結果が出るので再受診するように説明された。性器ヘルペスには抗ウイルス薬が処方された。
 
 
午前問題100 1週後の受診で、性器ヘルペス症状は改善していた。しかし、ほとんど食事がとれず体重は3kg減少し、不眠のため全身倦怠感が強く、気力がわかず、仕事は休んでいた。日和見感染症の発症は認められなかった。
 これらの症状から考えられるのはどれか。
1.摂食障害
2.うつ状態
3.AIDS脳症
4.ヘルペス性髄膜脳炎
 
 
午前問題101 その後、全身倦怠感が改善し、多剤抗HIV薬の1日2回の内服が検討された。「仕事が不規則で1日2回、薬を飲めるか心配です」と看護師に話した。
 対応で適切なのはどれか。
1.「つらいときは内服を休んでも良いです」
2.「飲み忘れたときは翌日に3回内服しましょう」
3.「時間を気にせず1日2回内服できれば良いでしょう」
4.「確実に12時間おきに内服できる時間を考えましょう」
5.「まず内服を開始してみて良い方法を考えてみましょう」
 
 
午前問題102 1年が経過し、多剤抗HIV薬の内服も順調で健康状態は良い。交際中のパートナーと結婚を考えていると看護師に相談があった。パートナーには患者からHIV陽性である事実は話しており、パートナーにHIVやその他の性感染症は認められない。
 パートナーの二次感染予防法について患者への説明で正しいのはどれか。
1.「性交渉はできません」
2.「性交渉のときはコンドームを正しく装着してください」
3.「パートナーに予防的に抗HIV薬を内服してもらいましょう」
4.「あなたのウイルス量が減ればパートナーへの感染の危険性はなくなります」
 

 

 
次の文を読み、午前問題103~105の問いに答えよ。
 
 48歳の男性。職場の健康診断で大腸癌が疑われ来院した。検査の結果、下部直腸に腫瘍があり、低位前方切除術が施行された。術前に自覚症状はなく、入院や手術は初めての経験であった。
 
 
午前問題103 術後順調に経過し翌日には離床が可能となった。歩行練習を促したが、患者は創部の痛みを訴え拒否している。術後の痛みに対しては、硬膜外チューブから持続的に鎮痛薬が投与されている。
 対応で適切なのはどれか。
1.痛みがある間は歩行できないと説明する。
2.歩行練習を1日延期することを提案する。
3.痛みを気にしないで歩くように説明する。
4.鎮痛薬を追加使用して歩行を促す。
 
 
午前問題104 腹腔内に留置している閉鎖式ドレーンから褐色で悪臭のある排液が認められた。
 考えられる状態はどれか。
1.腸 炎
2.腸閉塞
3.縫合不全
4.術後出血
 
 
午前問題105 その後状態は安定し退院が予定された。
 説明内容で適切なのはどれか。
1.便秘は浣腸で対処する。
2.退院後1年は低残渣食とする。
3.腹部膨満が持続する場合は受診する。
4.排便回数は術後1、2か月で落ち着く。

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