113回看護師国家試験 午前問題91~105
次の文を読み91~93の問いに答えよ。
Aさん(49歳、女性)は、これまで在宅勤務でほとんど外出することがなく、BMI33であった。Aさんは久しぶりの出勤の際に転倒し、右大腿骨頸部骨折と診断され、右人工股関節置換術を受けることになった。
問題91 Aさんの術後に最も注意すべき所見はどれか。
1.Courvoisier〈クールボアジェ〉徴候
2.Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候
3.Homans〈ホーマンズ〉徴候
4.Romberg〈ロンベルグ〉徴候
問題92 術後1日、Aさんは39.1℃の発熱がみられた。
バイタルサイン:呼吸数18/分、脈拍117/分、整、血圧132/82mmHg、
経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)。
身体所見:呼吸音は異常なし、腰背部痛なし、術創部の腫脹、発赤、熱感は ない。左手の末梢血管内カテーテル刺入部に発赤、熱感がある。
血液検査所見:赤血球344万/μL、Hb12.1g/dL、白血球11,900/μL、
血小板18万/μL。
血液生化学所見:尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、
CRP11.4mg/dL。
尿所見:沈査に白血球を認めない。
胸部エックス線写真:異常所見なし。
Aさんの発熱の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。
1.肺 炎
2.腎盂腎炎
3.術創部感染
4.術後の吸収熱
5.カテーテル関連血流感染症
問題93 術後3日、Aさんの全身状態は改善し、読書をして過ごしている。
Aさんの術後の合併症を予防する適切な肢位はどれか。
1.外 旋
2.外 転
3.内 旋
4.内 転
次の文を読み94~96の問いに答えよ。
Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。
問題94 Aさんの呼吸機能に関する数値で増加を示すのはどれか。
1.1秒率
2.残気量
3.1回換気量
4.動脈血酸素分圧〈PaO2〉(room air)
問題95 Aさんは発熱、咳嗽、粘稠痰、呼吸困難を認めたため受診し、肺炎を伴う慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪と診断されて入院した。入院後、薬物療法によって病状は改善し退院が決定した。看護師がAさんに退院後の生活について尋ねると、今回の入院をきっかけにAさんは退職し、家事に専念すると答えた。
Aさんの呼吸機能に対する負荷が最も小さい動作はどれか。
1.食べる直前に調理する。
2.部屋全体に掃除機をかける。
3.頭より高い位置に洗濯物を干す。
4.買い物した荷物をカートで運ぶ。
問題96 5年後、Aさんは急性増悪による入退院を繰り返していた。今回の入院では呼吸機能の低下がみられたため、退院後に在宅酸素療法〈HOT〉を導入することになった。Aさんは「家での生活で気をつけることは何ですか」と看護師に質問した。
Aさんへの指導内容で適切なのはどれか。
1.「寒いときは電気毛布を使ってください」
2.「入浴時は酸素チューブを外してください」
3.「ガス調理器を電磁調理器に変更してください」
4.「呼吸が苦しいときは楽になるまで酸素流量を上げてください」
次の文を読み97~99の問いに答えよ。
Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしている。小学校の教員を定年退職後、書道教室に月2回、体操教室に月1回通っている。20年前に高血圧症と診断され、月に1回かかりつけの病院を受診し、内服治療をしている。6か月前から、Aさんは病院の受診日を間違えたり、書道教室の日時を忘れることがあり、かかりつけの医師に相談した。Aさんは認知症専門医を紹介され、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点で、軽度のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。
問題97 Aさんに出現している認知機能障害はどれか。
1.脱抑制
2.近時記憶障害
3.実行機能障害
4.物盗られ妄想
問題98 診断から2か月後、かかりつけの病院の看護師にAさんは「50年以上住んでいるこの土地で、できるだけ他人の迷惑にならず生活を続けたいと思って貯金もしてきました。私は軽い認知症だと言われたのですが、これからも自分でお金の管理ができるか心配です。どうしたらよいでしょうか。私が使えるサービスがあれば知りたいです」と話した。
Aさんが利用できるのはどれか。
1.生活保護制度
2.地域生活支援事業
3.後期高齢者医療制度
4.日常生活自立支援事業
問題99 診断から半年後、Aさんは、かかりつけの病院の看護師に「書道教室や体操教室は、部屋のカレンダーに書いて参加しています。ただ、最近、病院に行くときに薬が残っています。大切な薬だと先生から言われていますし、忘れずに飲みたいのですが、どうしたらよいでしょうか」と相談した。
看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1.「お薬手帳を毎朝見るようにしましょう」
2.「薬のことは主治医に相談してください」
3.「薬を飲んだらカレンダーに丸を付けてみませんか」
4.「この病気の方は、薬を飲み忘れることがあります」
次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aさん(70歳、女性)は夫(68歳)と2人で暮らしている。BMI26で左股関節の変形性関節症のため関節可動域の制限と疼痛があり、外出時はT字杖を使用している。症状が強いときに消炎鎮痛薬を服用しているが、日常生活動作は自立している。Aさんは過去に転倒したことはないが、左右の下肢の差が3cmあり、立ち上がるときにふらつくことがある。自宅で座って過ごす時間が長い。Aさんは定期受診のため夫に付き添われて外来を受診した。
問題100 Aさんの症状の悪化を予防するための説明で適切なのはどれか。
1.運動はしない。
2.減塩食をとる。
3.体重を減らす。
4.家事は夫に任せる。
問題101 外来で、診察終了後にAさんから「少し話がある」と言われた女性のB看護師は、空いている診察室で面談した。Aさんから「男性の医師には聞けなかったのですが、性交はやめておいた方がよいでしょうか。股関節の痛みが強くなることはないのですが、夫も心配していました」と相談があった。
このときのB看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
1.「同年代の変形性関節症の方に聞いてみてはいかがですか」
2.「股関節に負担がない体位について説明します」
3.「性交時は潤滑剤を使いましょう」
4.「性交は避けた方がよいでしょう」
問題102 B看護師は、Aさんが処置室前の待合室でT字杖を持ち、椅子から立ち上がろうとしているのを見かけた。B看護師が声をかけると、Aさんは「夫が会計をしていますが、急にトイレに行きたくなって」と慌てていた。夫はAさんから2mほど離れた所で会計をしているため、Aさんの様子に気がついていない。待合室は患者や家族で混雑しており、外来にある車椅子は別の患者が使用中だった。
AさんへのB看護師の声かえで適切なのはどれか。
1.「車椅子を探してきます」
2.「ご主人を呼びましょう」
3.「トイレまで一緒に行きましょう」
4.「転ばないように気を付けて行ってくださいね」
次の文を読み103~105の問いに答えよ。
Aちゃんは出生前診断で羊水過多があり先天性食道閉鎖症の疑いを指摘されていた。在胎37週5日に帝王切開で出生、出生体重2,780g、Apgar〈アプガー〉スコア1分後8点、5分後9点である。出生後、Aちゃんは先天性食道閉鎖症と診断された。
問題103 出生直後のAちゃんにみられるのはどれか。
1.腹部エックス線写真の鏡面像
2.口腔内の泡沫状唾液の流出
3.胆汁性の嘔吐
4.噴水状の嘔吐
問題104 Aちゃんは、出生当日に胃瘻造設、気管食道瘻切断と食道端々吻合術を受け、無事に終了した。術後2日、人工呼吸器管理下で胸腔ドレーンが挿入されている。
このときの看護で適切なのはどれか。
1.頸部を伸展させた体位を保持する。
2.摂食嚥下機能の獲得のため支援を開始する。
3.親がAちゃんを自由に抱っこするのを見守る。
4.唾液の吸引時には吸引チューブの挿入を吻合部の手前までにする。
問題105 Aちゃんは3歳6か月になった。現在は胃瘻を閉鎖し経口摂取をしているが、吻合部の狭窄による嚥下困難が生じ、これまでに食道バルーン拡張術を2回行った。現在も症状が残っていて、固形物の通過障害が軽度である。身長92.5cm(25パーセンタイル)、体重11.5㎏(3パーセンタイル)で、半年後に保育所へ入園する。両親が「Aはあまり体重が増えません。保育所ではみんなより食事に時間がかかるのではないかと心配です」と外来看護師に話したため、今後の対応について両親、看護師および医師で話し合った。
Aちゃんの摂食に関する対応で適切なのはどれか。
1.再度、胃瘻を造設する。
2.食事を保育士に介助してもらう。
3.昼前に保育所から帰宅し、家で昼食を摂る。
4.同じクラスの子ども達と同量を食べられるよう訓練する。
5.Aちゃんに適した食事形態の提供が可能か保育所に確認する。