87回看護師国家試験 午後問題31~45
次の文を読み午後問題31~33に答えよ。
43歳の主婦。夫と高校2年生の長男との3人暮らしである。数年前から食事前や排泄後には念入りに手洗いをしていた。最近、何回手を洗ってもまだ不潔ではないかと不安になり、手の皮がむけても何時間も洗い、立ち続けているために下肢に浮腫がみられるようになった。不潔感にとらわれ疲れ果ててしまったため、夫に付添われ来院し、強迫神経症と診断され入院した。本人は「自分の性格は几帳面で責任感が強いが、いつも考えを主張できないのでストレスが溜まってしまってつらい」と言っている。夫の話しによると、最近、長男の進路のことで夫と意見がくい違い、妻は深刻そうな様子であったとのことである。
午後問題31 症状が増悪した場合に予測される状態はどれか。
a.手荒れの処置を拒む。
b.心気妄想を訴える。
c.身の廻りのことができなくなる。
d.入眠が困難となる。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題32 入院当初の看護で適切なのはどれか。
a.病院の日課を守るよう指導する。
b.不潔にとらわれている気持ちをいたわる。
c.手洗いが一段落するまで見守る。
d.同室者と積極的にかかわるよう勧める。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題33 今後の看護目標で優先されるのはどれか。
1.家族間の調整
2.性格の変容
3.身体症状の改善
4.手洗い行為の消失
次の文を読み午後問題34~36に答えよ。
22歳の女性。母親は2年前に病死し、父親と妹との3人暮らしであった。最近、転勤のため一人暮らしになったのをきっかけに不安感が現れ、食事の摂取量が少なくなった。眠れない夜が続き会社を休んでいる。電話で父親に「お母さんが私を呼んでいる。テレビで自分のことが放送されているようでつらい。『殺す』という声が聞こえてくる」と訴えたため、父親が付添って来院し入院することになった。入院後、食事にはほとんど手をつけず、入浴や着替えもしたがらない。抗精神病薬が処方されているが「病気ではないし、のみはじめたら手が震えるようになったのでいや」と言って服薬を拒んでいる。
午後問題34 入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
a.意欲が低下している。
b.感情が鈍麻している。
c.体感幻覚がある。
d.被害妄想がある。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題35 抗精神病薬を勧める説明で適切なのはどれか。
a.手の震えは他の薬でなおすことができる。
b.内服がいやなら注射に変更する。
c.体調が悪ければ自分で調節してよい。
d.「殺す」という声が聞こえなくなる。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題36 この時点の対応で適切なのはどれか。
a.テレビでどのように放送されているのか詳しく聞く。
b.入浴の必要性を説明する。
c.亡くなった母親のことを家族から聞く。
d.仕事について心配なことはないか尋ねる。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題37~39に答えよ。
10か月の男児。機嫌よく過ごしていたが、昼食後にぐずり始めた。その後は時折ぐずっていたが、夕食を少量食べた後に嘔吐し、15~20分ごとに激しい啼泣を繰り返し、ぐったりしたので、午後10時に救急車で来院した。診察の結果、腸重積症が疑われた。
午後問題37 救急車での処置の準備として重要なのはどれか。
a.点滴静脈内注射
b.酸素吸入
c.導 尿
d.グリセリン浣腸
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題38 血便がみられ、バリウム注腸による整復が考慮された。
この時点で最も重要な情報はどれか。
1.周期性啼泣の始まった時刻
2.血便の認められた時刻
3.最終嘔吐の時刻
4.最終排尿の時刻
午後問題39 腸重積症は確認されたが、バリウム注腸による用手整復は成功せず、手術を行った。手術は腸を切除せずに整復でき、半覚醒状態で帰室した。
優先度の低い観察項目はどれか。
1.呼 吸
2.尿 量
3.腹 水
4.創出血
次の文を読み午後問題40~42に答えよ。
3歳の女児。2日前から38℃台の発熱と咳があり、元気がなくなり食欲が低下した。今朝から体温が40℃に上がり、ぐったりしたので受診した。身長75cm、体重13kg。問いかけに返答しない。血液検査の結果、白血球23,000/mm3、Hb14.0g/dl、尿素窒素28mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、Na 135mEq/L、K 4.2mEq/L 、Cl 99mEq/L。胸部エックス線撮影の結果、肺炎と診断され入院した。
午後問題40 所見として考えられるのはどれか。
a.呼気性喘鳴
b.湿性ラ音
c.多呼吸
d.周期性呼吸
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題41 経皮的酸素飽和度(SpO2)は85%であった。
直ちに準備するものとして適切でないのはどれか。
1.酸素テント
2.加湿器
3.輸液ポンプ
4.心電計
午後問題42 カリウムを含まない電解質溶液と抗生薬との点滴静脈内注射が開始された。輸液速度ははじめの2時間は150ml/時、その後は70 ml/時であった。
優先すべき観察項目はどれか。
1.排 尿
2.血 圧
3.徐 脈
4.下 痢
次の文を読み午後問題43~45に答えよ。
7か月の男児。両親との3人家族である。4か月ころから、親は首のすわりが悪いことを気にして近医に相談をし、様子をみるように言われていた。本日の診察で仰臥位をとらせたところ、下肢を強く伸展する姿勢をとった。また、手を伸ばして物をつかむことができなかった。バビンスキー反射と非対称性緊張性頸反射とがみられた。
午後問題43 この男児の所見で正常といえるのはどれか。
1.仰臥位で下肢を強く伸展している。
2.手を伸ばして物をつかめない。
3.バビンスキー反射がみられる。
4.非対称性緊張性頸反射がみられる。
午後問題44 その後、近くの病院で定期的に診察と訓練とを受けてきたが、1歳6か月の時点で最終的に痙性両麻痺と診断された。
この男児の病態はどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
午後問題45 5歳になり、リハビリテーション専門病院の外来で機能訓練中である。現在、スプーンは握れるが食物はすくえない。母親がすくってやると自分で口に運べるが、すぐかんしゃくを起こすので母親が全部介助している。他の人の話しは理解でき、単語を数語話す。来院時に「最近保育園に通園するようになって、自分と他の子どもたちとの違いに気づき、いじけるようになった。どうしたらいいでしょうか」と母親から相談を受けた。
母親への指導で適切なのはどれか。
1.今までのやり方でよいと保証する。
2.子どもとの会話で障害の話題は避ける。
3.介助は最小限にし、子どもの動作を見守る。
4.保育園では母親が一緒に過ごす。