91回看護師国家試験 午後問題16~30
次の文を読み午後問題16~18に答えよ。
Aさん、25歳の男性。高校1年のときオートバイ事故で受傷した。第7頸髄節支配の機能が残存しているレベルである。職業訓練所卒業後、自動車を運転しての通勤も可能になり、いったん家族と同居したが、両親との折合いが悪く独居を始め6年が経過した。この間、褥瘡の治療のために手術を2度受けており、その都度プッシュアップ(両腕で上体を押しあげ殿部を浮かす)や体位変換についての再指導を受けている。今回、脊髄損傷リハビリテーション専門外来に定期診察のため受診したが、診察を受けるまでに長時間を要する状況であった。
午後問題16 診察前の体温は36.9℃。尿の性状は透明な麦わら色。外来でAさんを担当している看護婦が「何か変わったことはありませんか」と聞くと、「問題ないよ」と答えた。
診察を待つ間、看護婦が特に注意して観察するのはどれか。
1.待ち時間にイライラしていないか。
2.プッシュアップをしているか。
3.倦怠感や疲労感を示す様子はないか。
4.患者同士で情報交換をしているか。
午後問題17 外来受診した翌朝から咽頭痛が起こり、発熱した。欠勤の連絡をして、市販薬で様子をみるうち、嘔吐や下痢を併発し、食事も摂れなくなり、1週前から寝たきりになった。心配した上司が訪れ、入院となった。診察を受けたAさんは殿部の周辺に巨大な褥瘡があり「風邪を引いたころに鏡でみたら、小さな褥瘡ができていて、下痢で汚れるし、体がだるくて動けなくなるし。病院に行かないと危ないとわかっていたけど、これで褥瘡ができたのは3回目だから厳しく注意されるし、もうどうにでもなれと思った」と言う。
今後、Aさん自身が強化しなければならない行動はどれか。
1.自分に必要な援助を他者に求めること
2.好発部位を鏡で観察する習慣
3.プッシュアップ・体位変換のスケジュール化
4.風邪を予防する対策
午後問題18 Aさんの体力が回復したところで筋皮弁を用いて褥瘡を閉鎖する手術が行われた。数日後、定期の抗菌薬の点滴が開始された直後に、看護婦から「膀胱留置カテーテルを抜いて、入院前と同様に自己導尿をしたらどうでしょう」と提案された。Aさんは了解して「カテーテルは何時に抜いてもらえますか」と尋ねたところ、看護婦から「何時にしたらいいですか」と問い返された。
看護婦が意図したことはどれか。
1.Aさんが膀胱充満感を知覚するのを待つ。
2.Aさんの自由意志を優先する。
3.Aさんに自分で判断できることだと気付いてもらう。
4.Aさんが正しく判断できるかどうかを確認する。
次の文を読み午後問題19~21に答えよ。
45歳の女性。夫と2人暮らし。猫を飼っている。夫は喫煙するが本人はしない。35歳で気管支喘息を発病し、内服薬を服用していた。夜間頻繁に呼吸困難発作が起こり、目覚めることがある。3日前から発熱と咽頭痛とがあり、呼吸困難が強くなって入院した。入院時、体温38.3℃、脈拍数110/分、呼吸数23/分、吸気及び呼気時に全肺野で喘鳴を聴取した。会話は可能で酸素飽和度(SaO2)96%であった。
午後問題19 最初に行う対応はどれか。
1.起坐位にする。
2.タッピングを行う。
3.解熱薬を投与する。
4.酸素吸入を行う。
午後問題20 2週間で喘鳴が消失した。
退院指導で必要でないのはどれか。
1.吸入ステロイド薬の使用方法
2.呼吸リハビリテーション
3.ピークフローモニター使用方法
4.夫の分煙
午後問題21 検査の結果、アレルゲンはハウスダストであることが判明した。
指導で有効なのはどれか。
a.本棚にはたきをかける。
b.布団を丸洗いする。
c.猫を定期的に洗う。
d.加湿器を使用する。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題22~24に答えよ。
51歳の男性。喫煙歴は20年、現在20本/日。1か月前から固形物の嚥下障害が出現したため来院した。上部消化管透視および内視鏡検査によって胸部中部食道癌と診断され、胸部食道全摘・胸壁前食道胃管吻合術およびリンパ節郭清術による根治手術が行われた。
午後問題22 手術創の位置はどれか。
午後問題23 ネブライザー吸入をしていたが、創痛を訴えて呼吸は浅く、痰の喀出は困難であった。動脈血酸素分圧(PaO2)は80mmHg。
吸引または気管支鏡による痰の排出の前に最初に行う援助はどれか。
1.腹式呼吸を数回促す。
2.鎮痛薬を投与する。
3.胸部の術創を上にした側臥位にする。
4.バイブレーターで胸部を振動させる。
午後問題24 術後2日、嗄声がみられたため内視鏡検査をしたところ、左声帯に麻痺を認めた。しかし、術後の経過は良好なため、術後8日、食事を開始した。
食事指導で正しいのはどれか。
a.あごを引いて飲み込む。
b.食物を飲み込んだ後に、前胸部を下方へ圧排する。
c.スプーンで食物を舌の奥に置く。
d.寒天で固めた食物にする。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題25~27に答えよ。
75歳の女性。5年前に夫を亡くし、51歳の長男と2人で暮らしている。健康診査で高血圧を指摘され、1年前から降圧薬を服用している。血圧は130~140/80~90mmHgを推移している。外来看護婦に「夜眠れなくて、昼間ボーッとしている」と訴えるようになった。生活の様子を聞くと「普段夜9時には寝ていたが、最近は息子の帰りを待って12時ころ寝ることが多い。なかなか寝つけず、ようやく寝ても2、3回目を覚まし、1度はトイレに行く。朝5時ころ起きてしまう」と言う。
午後問題25 最も対応を要する状態はどれか。
1.生活リズムの乱れ
2.孤独感
3.夜間頻尿への不安
4.血圧上昇への不安
午後問題26 本人への指導で適切なのはどれか。
1.「寝る前に飲むお茶の量を控えましょう」
2.「親しい人に自分のことを話してみましょう」
3.「息子の帰りを待たずに普段寝る時間に寝ましょう」
4.「昼寝ができれば夜眠れなくても大丈夫です」
午後問題27 1か月後の外来受診時、血圧は165/95mmHgであった。「相変わらず息子の帰りは遅く、疲れがひどくなってきた」と言う。
対応で優先度が低いのはどれか。
1.睡眠薬を使用して眠る方法を提案する。
2.地元の高齢者福祉センターに通うことを提案する。
3.外来に息子と一緒に来るよう伝える。
4.降圧薬の調整を医師に相談する。
次の文を読み午後問題28~30に答えよ。
80歳の男性。喫煙歴50年で、若いときは1日20本だったが70歳を過ぎてからは1日10本吸っている。最近、労作時に息切れが出現していた。2、3日前から風邪気味となり、咳や痰が出ていた。徐々に息切れが強くなり入院した。体温37.8℃、脈拍数120/分、呼吸数32/分、血圧168/80mmHg。喘鳴が聴取され、口唇と手先とにチアノーゼがある。意識は清明。胸部エックス線撮影では、過膨張所見がみられる。
午後問題28 入院時の呼吸方法の指導で正しいのはどれか。
1.胸式で浅い呼吸をするよう指導する。
2.紙袋を口に当て、深呼吸するよう指導する。
3.口をすぼめ、息を吐き出すよう指導する。
4.口を大きく開け、早く呼吸するよう指導する。
午後問題29 3日後、解熱したが「体を動かすと、息が苦しくなるかもしれない」と言い、ベッド上で臥床していることが多い。
対応で適切なのはどれか。
1.「もう病気は治ったので、どんどん動きましょう」
2.「この病気は動くと苦しくなるので、安静にしていましょう」
3.「動きたくなったら声をかけて下さい」
4.「車椅子に乗って散歩に行きましょう」
午後問題30 退院が近づき、看護婦に「主治医から再度禁煙の指導を受けたし、自分でもやめられるものならやめたいと思っているけど、自分には禁煙できない気がする」と訴えてきた。
対応で適切なのはどれか。
a.「慌てずに、少しずつたばこの本数を減らしましょう」
b.「禁煙中は息苦しさが和らいでいたでしょう」
c.「禁煙できた人に秘けつを聞いてみましょう」
d.「吸わないように家族にみていてもらいましょう」
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d