92回看護師国家試験 午後問題1~15
次の文を読み午後問題1~3に答えよ。
Aさん、65歳の女性。夫と2人暮らし。4年前に咳と激しい息切れで受診したところ肺線維症と診断された。坂道や階段で呼吸困難が強くなり、家事にも支障をきたすようになったため入院した。10日後、退院が決まり在宅酸素療法が開始されることになった。
午後問題1 Aさんへの退院指導で正しいのはどれか。
1.運動は行わない。
2.室内は火気厳禁とする。
3.入浴時にも酸素吸入を行う。
4.家事は短時間にまとめて行う。
午後問題2 在宅酸素療法を始めて2か月が過ぎ、Aさんの経過は良好である。訪問看護師は訪問看護サービスの終了を考え始めた。しかし、Aさんの発言から訪問看護の終了は早すぎると判断した。
Aさんの発言はどれか。
1.「携帯用酸素ボンベを使えるようになりました」
2.「坂道は途中で呼吸を整えれば楽に歩けます」
3.「夜は酸素を吸わなくても平気になりました」
4.「腹式呼吸がうまく出来るようになりました」
午後問題3 在宅酸素療法を始めて半年、Aさんは上気道感染による呼吸不全で緊急入院した。
入院2週後のAさんの退院指導で誤っているのはどれか。
1.人混みに出るのを避ける。
2.うがいを励行する。
3.具合が悪いときは酸素流量を増やす。
4.体位ドレナージで排痰を促す。
次の文を読み午後問題4~6に答えよ。
Bさん、82歳の女性。脳梗塞で寝たきりの生活となり3年が経った。要介護度は5である。84歳の夫と古い一軒家で仲良く質素に暮らしている。入浴は訪問入浴サービスを利用し、掃除、洗濯、布団干しはホームヘルパーに依頼している。介護支援専門員を兼ねる訪問看護師は週2回訪問し、病状観察と看護ケアを行っている。
午後問題4 Bさんの受けている訪問看護はどの保険によるか。
1.介護保険
2.年金保険
3.健康保険
4.国民健康保険
午後問題5 ある日、看護師はBさんの下腿外側に水疱が破れているのを見つけた。夫に尋ねたところ、就寝前に湯たんぽを直に当てたための熱傷であることが分かった。Bさんが夜中に「足が冷たいよー」と言って起きてしまうことが多く、つい足元近くにカバーをしていない湯たんぽを置いて、夫は寝てしまう状況が明らかになった。
看護師の対応で優先するのはどれか。
1.湯たんぽの使い方を説明する。
2.夫に下肢のマッサージを指導する。
3.就寝前の足浴を夫に指導する。
4.睡眠薬の使用について主治医に相談する。
午後問題6 2か月後看護師が訪問すると、夫が熱を出して寝ていた。夫に受診を促したところ1週の予定で入院することになった。
Bさんの生活を保障するための方法で最も適切なのはどれか。
1.Bさんの入院を手配する。
2.看護師が毎日訪問する。
3.夜間の訪問介護を手配する。
4.Bさんの短期入所サービスを手配する。
次の文を読み午後問題7~9に答えよ。
Cさん、60歳の女性。定年退職した夫と2人暮らし。仲の良さは評判の夫婦で、夫は「妻が自分の生きがいだ」と周囲に話している。2年前にCさんの乳癌が肺に転移した状態で発見され治療を試みたが有効ではなかった。その後2回ほど入退院を繰り返し、今回の入院では骨にも転移しており医師はCさんと夫に余命半年くらいと伝えた。現在は経口モルヒネ薬を服用し夜間はよく眠っている。夫婦とも痛みさえコントロールできれば退院し最後まで自宅で過ごしたいと話しており、退院に向けて準備を始めた。
午後問題7 退院に向けた病棟の看護師の対応で優先するのはどれか。
1.介護保険の要介護認定を受ける手続きについて夫に話す。
2.経口モルヒネ薬の減量について主治医と検討する。
3.訪問看護師に在宅ケアについての説明を依頼する。
4.家の間取りを調査するため訪問する。
午後問題8 Cさんが退院して2週が過ぎた。夫は食事や入浴介助のことなど一通り経験し、夫婦でゆっくりした時間をもてるようになった。Cさんは「もしかしたらこのまま癌がなくなっちゃうかもしれないわね」と言い、時折台所で軽食を作ったりしている。また、高校時代のアルバムを見て故郷に是非一度帰ってみたいと話している。
看護師の対応で適切でないのはどれか。
1.故郷への旅が実現できるよう検討する。
2.Cさんと夫に死についての考えを自然な形で尋ねる。
3.急変にいつでも対応できるよう準備しておく。
4.日常生活動作の拡大に向けて歩行訓練を計画する。
午後問題9 3か月の在宅療養の後、Cさんは自宅で亡くなった。その後1か月が過ぎ、訪問看護師が夫に手紙を出したところ「妻が亡くなってから食欲もなく、ただただ妻の日記を見ては涙する自分が情けない」と書かれた返事が送られてきた。看護師は近隣に訪問に出かけた際、Cさん宅を訪問した。
対応で最も適切なのはどれか。
1.自分の人生を前向きに考えるよう勧める。
2.Cさんと過した日々について語ってもらう。
3.癌で家族を亡くした遺族の会への出席を勧める。
4.食事を摂る必要性を説明する。
次の文を読み午後問題10~12に答えよ。
57歳の女性。事務員。高血圧で降圧薬を服用していた。夕方背部の不快感があったがそのまま様子をみていた。午後11時ころ、突然に強い背部痛と胸がしめつけられる症状が出現したため救急車で来院した。単純エックス線CTで上行大動脈から大動脈弓部までの急性解離が認められた。入院時の血圧は204/130mmHg、心拍数116/分、呼吸数24/分、意識は清明であったがぐったりしていた。塩酸モルヒネによる疼痛管理と、カルシウム拮抗薬の持続点滴静脈内注射が開始され、翌朝の手術が手配された。
午後問題10 入院後、動作はできるだけゆっくりすること、手術まではベッド上安静を保つことが説明された。
その主たる理由はどれか。
1.血圧の変動を防ぐ。
2.心筋酸素消費量を下げる。
3.末梢循環血液量を確保する。
4.ガス交換の効率を高める。
午後問題11 明け方に「背中がまた急に痛くなった。我慢できないし息苦しい」と言い、背中を丸めて呻吟している。血圧80/50mmHg、心電図モニターでは洞性頻脈を認め、心音微弱で呼吸は浅表性であるが左右差はない。
推測される状態はどれか。
1.心筋梗塞
2.気 胸
3.肺塞栓
4.心タンポナーデ
午後問題12 人工血管置換術が行われた。その後、順調に回復し退院に向けワーファリンと降圧薬(βブロッカー)の服薬指導を受けた。
正しいのはどれか。
1.ワーファリンは再解離予防のためである。
2.降圧薬は決められた時間に飲む。
3.納豆はワーファリンの作用を増強する。
4.柑橘類の摂取は避ける。
次の文を読み午後問題13~15に答えよ。
52歳の男性、独身。長距離トラックの運転手で夜間は働いて昼間に睡眠をとる生活をしていた。長引く胃痛で受診したところ胃癌と診断され胃全摘出術を受けた。手術は無事終了し、術後の回復も順調で術後7日に300ml/日の流動食が開始されることになった。
午後問題13 経口摂取を開始するにあたり適切なのはどれか。
1.流動食300ml/日の他に飲水ができる。
2.全量摂取を目指す。
3.摂取後は座位で過ごす。
4.1回30ml程度に分けて飲む。
午後問題14 術後6か月の外来受診時に「仕事は比較的楽な2人体制(運転席後 方の簡易ベッドで仮眠を取り途中交代する)に切り替えて続けているが、仮眠を取るため食事は勤務中に1回しか摂れない。その食事も胸やけのためあまり食べられない。朝食だけはまあまあ食べられるが、不眠がちでどうしてもウイスキーを飲んでしまい3日で1本空ける」と看護師に打ち明けた。体重は退院後5kg減った。
外来受診時の検査結果で出現する可能性が低いのはどれか。
1.アルブミン低下
2.ヘモグロビン低下
3.白血球数増加
4.γ-GTP上昇
午後問題15 食事指導でアルコール摂取は改善されたが、さらに1か月後の外来受診時「ずっと下痢で悩んでいる」と話した。
日頃の食事についての指導で適切なのはどれか。
1.食事中の積極的な水分摂取を勧める。
2.植物性脂肪の摂取を勧める。
3.<仮眠→食事→運転>のパターンは適切である。
4.1日の食事回数は3回以上を目指す。