92回看護師国家試験 午後問題31~45
次の文を読み午後問題31~33に答えよ。
76歳の男性。3年前にアルツハイマー型痴呆と診断された。最近になって、鍵や現金の置き場所を忘れて泥棒が入ったという訴えや、妻がいないときに1人で外出し帰宅できずに警察に保護されることが頻繁になった。そのため精神科に入院した。入院してからも昼食直後に「食事を食べていない」と訴える。また、盛夏であるにもかかわらず季節を尋ねると「冬」と言う。
午後問題31 この男性に認められる精神症状はどれか。
a.記銘力障害
b.行為障害
c.感情障害
d.見当識障害
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題32 今日も昼食直後「食事を食べていない」と言ってきた。
対応として適切なのはどれか。
1.「今、昼食でカレーとサラダを食べたところですよ」
2.「では、おやつの準備をします」
3.「昼食の用意ができるまでお話をしましょう」
4.「昼食は食べ終わりましたが、お忘れですか」
午後問題33 入院2週後、夜間の徘徊が始まった。
対応として適切なのはどれか。
1.「夜だから休んでください」と臥床を促す。
2.「客間に行きましょう」と個室に誘導して施錠する。
3.「夜歩くのは他の人に迷惑になります」と帰室を促す。
4.しばらく一緒に歩き「着きましたよ」と臥床を促す。
次の文を読み午後問題34~36に答えよ。
日齢25の女児。出生時に心雑音を指摘され外来通院で経過を観察していたが、心機能が悪化し入院した。入院時体重2,710g。多呼吸や陥没呼吸、全身の網状チアノーゼと肝腫大がみられ、心エコー検査や胸部エックス線撮影の結果から心室中隔欠損症、肺高血圧症と診断された。ミルクは経口で40mlを8回/日で、休み休み哺乳している。おむつの重量測定によると、尿量は約200g/日であり強心薬と利尿薬の内服が開始された。
午後問題34 入院直後の看護で適切なのはどれか。
1.強く啼泣させないようにする。
2.手背の圧痕で浮腫を観察する。
3.内服は授乳直後にする。
4.沐浴で血液循環の改善を図る。
午後問題35 授乳量は徐々に増加し、2週後、休まずに50mlを8回/日哺乳するようになった。体重は2,640g、尿量は約550g/日となり、入院時に比べ、声をかけると四肢を活発に動かすようになった。
心機能が改善していると判断した根拠として最も適切なのはどれか。
1.四肢の動きが増えた。
2.人の声に反応するようになった。
3.水分出納が負に傾いた。
4.体重が減少した。
午後問題36 母親の産後の経過は順調。母親の希望によって子どもに付き添うことになった。児は第3子で母親は育児に慣れていたが、不機嫌で泣き続けるためほとんど眠っていなかった。看護師が「夜間は私たちが対応するので別室で寝るように」と勧めたが母親は「自分で面倒をみたい」と断り5日間断続的で短い睡眠しかとれていない。6日目の朝、訪室すると母親は疲労した顔で児を抱いていた。
母親の心理のアセスメントで最も考えにくいのはどれか。
1.児を産んだことを後悔している。
2.母親失格だと自分を責めている。
3.看護師が助けてくれないと腹を立てている。
4.児のために頑張ろうと思い詰めている。
次の文を読み午後問題37~39に答えよ。
E君、2歳6か月の男児。浮腫、下痢、貧血および蛋白尿で近医より紹介され、ネフローゼ症候群と診断された。血液検査でHb8.0g/dl、血清総蛋白3.5g/dl、エックス線撮影で胸水の貯留を認めた。初期治療として、25%アルブミンの点滴静脈内注射と利尿薬の静脈内注射とが開始された。その後、副腎皮質ステロイド薬の服用が開始された。
午後問題37 E君に25%のアルブミンの点滴静脈内注射をすることによって、即時的な改善が期待できない症状はどれか。
1.浮 腫
2.貧 血
3.下 痢
4.胸 水
午後問題38 入院3日の夕方、母親は妊娠中のため付き添いを中止し、E君が入眠後帰宅した。E君は目覚めた後、母親がいないことに気がついて大泣きし、遊ぼうとする看護師の手をはらいのけどの看護師も近づけなかった。
E君の反応はJ.ロバートソンらによる「乳幼児が母子分離入院した場合に示す反応」のどれか。
1.抗 議
2.絶 望
3.否 認
4.決 別
午後問題39 入院7日から尿のおもらしが始まった。母親から「トイレットトレーニングが終わっているのに、最近おもらしが増えて元に戻ってしまった。入院中のトレーニングはどうしたらよいでしょう」と相談を受けた。看護師は母親の気持ちを受け止めながら次のように話した。
適切なのはどれか。
1.「さっそく始めましょう」
2.「下痢が止まったら始めましょう」
3.「E君の気持ちが落ち着くのを待ちましょう」
4.「入院中は止めておきましょう」
次の文を読み午後問題40~42に答えよ。
正期産で出生した男児。顔貌などの特徴からダウン症が疑われた。両親は出生2日に説明を受けてショックを隠しきれなかったが、染色体検査を了承した。家族は父親と母親、4歳の姉、本児であり、同じ敷地内に祖父母が暮らしている。
午後問題40 医師からの説明を受けた後の両親への対応で最も適切なのはどれか。
1.合併症について平易に説明する。
2.親の会への入会を勧める。
3.早期療育の専門施設を紹介する。
4.児の世話を親と一緒に行う。
午後問題41 出生7日に母児ともに退院した。生後1か月の外来受診のとき、ダウン症であると説明された。この1か月間の様子を尋ねたところ、母親は「かわいいけれど上手に抱っこできない」と訴えた。
その理由として最も考えられるのはどれか。
1.子どもの上肢が短い。
2.子どもの筋肉が低緊張である。
3.子どもの関節が過伸展である。
4.子どもを受容できない。
午後問題42 生後8か月の外来受診のとき、母親から4歳の姉のことで相談を受けた。保育所からの連絡では、姉は他の子どもをたたいたり、かんしゃくを起こしたり、情緒が不安定であるという話であった。
姉に関して母親への助言で最も重要なのはどれか。
1.保育士に弟の病気を説明する。
2.姉と母親との接触を密にする。
3.姉の育児に祖父母の協力を求める。
4.姉の保育所への通所を中止する。
次の文を読み午後問題43~45に答えよ。
43歳の1回経産婦。会社員。妊娠26週0日の健康診査の結果は体重58kg(非妊時体重52kg、前回健康診査日より+0.8kg)、血圧120/70mmHg、尿蛋白(±)、尿糖(+)、浮腫(-)、子宮底長25cm、Hb9.8g/dl、胎児心拍数146bpmであった。「お腹もだいぶ大きくなってきて、1日に2、3回軽くお腹が張ることがありますが、痛みも出血もありません。それより、右膝の裏側の血管がデコボコして重苦しい感じがするのが気になります」と話している。前回までの健康診査結果に異常はない。
午後問題43 今回の健康診査のアセスメントで適切なのはどれか。
1.妊娠中毒症
2.貧 血
3.切迫早産
4.妊娠糖尿病
午後問題44 「右膝の裏側の状態」への生活指導で適切でないのはどれか。
1.弾性ストッキングの着用
2.体重の制限
3.就寝時の下肢挙上
4.塩分の制限
午後問題45 妊娠32週の健康診査時「この仕事をして初めて大きな企画の責任者を任されているんです。お産直前まで仕事をしようと思っています。産後もできるだけ早く仕事に復帰したいです。同僚は無理するなって言ってくれるんですが、全く予定していなかった妊娠なので周囲に迷惑もかけちゃいましたから。生まれたら13歳になる娘が面倒みてくれるって言っているんです。出産や育児の準備はまだできていません」と話している。
看護師の対応で適切でないのはどれか。
1.胎児についてどのように思っているかを尋ねる。
2.時間外の労働時間について尋ねる。
3.定期健康診査は必ず受診するように勧める。
4.産前休暇は取得しなければならないと説明する。